大地のめぐみ

はるか農園の願い

循環型農業で技術を高める

現在、2000羽の鶏を平飼いし、約17ヘクタールの土地でケール、レタス、スイートコーン、かぼちゃ、玉ねぎなどを作っています。圃場は全部有機JASで、維持管理していくのは大変です。

有機の農産物が高い一つの原因は物量が少ないせいで物流コストが非常に高いことです。生産者の庭先の価格は変わらないのに、店頭に並ぶと差が出ます。高いと売れません。有機の野菜が安定して豊富に生産流通することで手ごろな値段となり、当たり前に食卓に並ぶようになって欲しい。

うちも含めて有機の技術は発展途上だと思っています。その技術開発をしていかないと、減農薬や肥料の工夫で安全性を高め、成果を上げている慣行栽培に、取り残されてしまいます。安全でおいしいものを、生産性をもっていかに作るかが非常に大切です。

鶏糞を堆肥にして畑に戻し、野菜の残渣を鶏の餌にする循環型農業は肥料の由来が確かで安全安心です。鶏糞は窒素分が多いのですが、炭素分が少なく、道では畜糞は手に入っても十分な量の炭素の元が確保できないので、そこをどう補うかが技術的な課題になっています。各所から籾殻などを集める、緑肥を作るなど、苦労するところです。

手間がかかるという作業性の問題で、循環型を実践する農家さんは少ないですね。季節によりますが、うちではスタッフ10人で取り組んでいます。

手間をかける贅沢

就農した頃は、小規模な有機農家がもっと増えると思っていましたが、より大規模化して、軒数は減っています。1970年代、学生運動が下火になったときに辞めて有機農家になった人たちを第1世代と僕は呼んでいるのですが、ちょうど引退の時期を迎えています。後を継ぐ方が意外に少ないようですが、畑は1年ではできず、長い時間をかけて土が良くなってくるのですから、世代継承で途切れさせるのはもったいないし、残念です。

この止まらない流れのなかで、より安全でおいしいものを効率よく作っていかなくてはなりません。まだまだ可能性があるので、技術を向上させて、もっといいものをさらに生産性よく作っていけたらなと思っています。面積をどれくらい大きくするかはいつも考えています。また、現状の2トンから2トン500ぐらいの単収を、慣行レベルの3トンぐらいまで上げていくのが目標です。

食生活が変わり、家庭で料理をしなくなっています。例えば、ポテトコロッケを家で作られる方がどんどん減っています。手間をかけておいしくするのはとても贅沢なことなのに、簡単に手早く作ることを主眼にした料理本があふれています。人々の価値観が、「いかにおいしく食べるか」「おいしくなるなら手間をかけてもいい」ということに変わり、素材の良さを味わってもらえると嬉しいですね。

MENUCLOSE